こんにちは。東京営業課の武下です。
今月は日本のものづくりにITが貢献していく話題についてブログを書きます。ものづくりの業界において直近の課題は、ベテラン熟練技能者の大量引退による人手不足。次の若手に技術を伝承する前に訪れる熟練技能者の定年退職は、ものづくりの企業にとっては深刻な課題のようだ。そんな課題に対して人工知能(AI)が助け舟を出してくれる。
【熟練者のノウハウや作業手順をAIでデジタル化】
各企業は、以前から技能や現場ノウハウの伝承は、ベテラン社員による指導など職場内訓練(OJT)に力を入れてきた。「匠の技」をビデオ記録する試みも多かったようだ。しかし直近の企業の現場では、作業手順やノウハウを、AIでデジタル化し、代替・継承する動きが広がっているようだ。
●大手電機メーカーは、産業技術関連の研究所と共同で、ファクトリーオートメーション(FA)機器のある工場での生産準備作業を大幅に効率化する一連のAI技術を開発したようだ。「サーボシステム」とい制御機械で、熟練技能者が通常1週間以上かかる位置決め制御の事前の調整作業を1日でできるようになった。共同研究所が持っている「ベイズ最適化」という技術を使われたようだ。また、レーザー加工品質の判定を熟練技能者と同等レベルで自動判定できるようにしたほか、産業用ロボットの異常処理プログラムの作成時間を約3分の1に短縮できたようだ。
FAの世界でも「AIが主役」になるようなことが起きているのだとこのようなニュースを聞いて私も実感した次第だ。私も約15~20年前にはこのような工場に前職の仕事の関係で出入りしていたことがあり、その時から将来の後継者探しや技術継承については課題があると言っていてその解決策が見つかっていなかったが、まさかこの時代になってAIがその課題解決を担うことになろうとは。。時代の流れもを感じ感慨深いものだ。
【VRで緊急時訓練】【航空整備遠隔操作】
大手航空会社が始めた客室乗務員の訓練に、大手メーカーが開発したVRソフトが使われているようだ。従来は再現困難だった緊急時のシーンやあらゆる想定シーンを体験しながら訓練ができるようで、社員の能力定着の効果も高いようである。また別の航空会社と大手キャリアが協力して次世代通信規格5Gを使った遠隔での航空機整備作業支援システムを開発したようだ。4Kカメラを装着した整備士が機体の傍らに立ち、別の場所からベテランが映像を確認しながら支持を飛ばす。高精細の映像を低遅延の通信で送ることで、指示者がそばにいるような感覚で作業が進むようである。熟練技能者ならではの作業のコツをAI技術を駆使して継承するこのようなシステムは、上記航空機整備だけでなく、他のあらゆる機械整備にも活かせるのではないかと想像もでき、社会貢献性の高い技術ではないかと思う。
【ものづくりの“暗黙知”をAIが継承】
大手ビールメーカーと大手商社の研究所が共同で、ビールの新商品開発技術者を支援する「醸造匠(たくみ)AI」というものを開発したようで、技術者が過去に編み出したレシピや経験データをもとに機械学習をし専用アルゴリズムを作るとのことである。製品の目視検査や身体的な作業の伝承では、熟練技能者がどこに注意を向けているかを知るのが重要で、そこで眼鏡のようなデバイスで作業者の目の動きを読み取って記録する「視線計測技術」というものが活躍しているようだ。「視線計測技術」というキーワードは今日初めて知った。熟練者の動きを知るためにはなるほどだ。。
【視線計測技術はこんなところにも活かされている】
鉄道会社は車掌の訓練に「視線計測」をすでに使っているようだ。東京品川にあるベンチャー企業の視線計測装置を使い、駅ホームでのドア開閉や、列車進入時の安全確認などの際の視線の動きについてベテランと新人を比較。「駆け込み乗車に気付くため一点に集中せず全体に目を配っている」といったベテラン車掌の特徴をデータ化して、研修教材に使っているようだ。なんと素晴らしいAI教材だ。。これからの時代、師匠は先輩でなくAIなのでしょうか。。う~ん、まさに人間とAIが入り乱れてくる時代だ。ついていけるかな。いや、気持ちを切り替えてついていかねば。。それがこれからの時代だ。
今月のブログはこれにてさようなら。恐るべし人工知能・・・。